第1章:倒産までの状況(8)

自殺を考える人のほとんどがうつ的状態になっていると、以前何かの書物で読んだ事がありました。当時の私もまさにそういう状態だったと思います。

私は、会社にいない時間が増えました。社員が出社する前に出社し、その日の業務指示をメールで送信、その後は外出したまま、帰社は社員たちが退社したころを見計らって戻る。そんな状態になっていました。社員たちの顔を見るのが辛いのと、それでも尚、悟らせたくない、この窮状を解らせてはいけないと、そんな思いでした。事務員には営業まわりと伝えていますが、そうではありません。喫茶店をはしごし、ノートパソコンで「人は死後どうなるのだろう?」とか、「どのような死に方が楽なのだろうか?」「自殺でも保険金はおりるのか?」など、そんなことばかりを検索し、四六時中考えていました。インターネットの中にあった外国人少女の首つり自殺の映像を見て、「首つりはさほど苦しまずに死ねる」と思い、死に方は首つりにする事にしました。自殺するのは来月の給料日、家族に当座の現金を渡した後と決めました。

この頃の心情は、不安や恐怖、絶望感は全くありませんでした。不思議なくらい冷静で、逆に死を決めた後から、安堵感のようなものを感じていました。建前はどうであれ、「これで楽になれる」という本意が心の中にあったのかもしれません。

 

自殺をすると決めた日の1週間前から、私は、お世話になった人の家の近くまでいって遠巻きに様子を見たり、自分の死後の事を独り言のように頼んだり、自分の生まれ育った土地や母校を訪れて若かった頃を懐かしんだりしていました。。もちろん、誰ともあう事はありません。

遺書は、家内、子供、社員、知人など、意思や謝罪を伝えたい人宛てに10通ほど書きました。

今思い出すとおかしくなってしまいますが、この時はこれが正しい唯一の解決方法と

f:id:kuutiti:20200831215230j:plain


、本気でそう考えていました。