第5章:債権者集会(1)

私は過去に2度、社長に就任する前に債権者集会というものに債権者として出席した事がありました。1社は倒産、もう1社は会社更生法による更生を前提とした事案でした。その場面は、裁判官、管財人、申し立て代理人、そして破産者がひな壇に座り債権者と対峙して座る、そういう風景でした。いずれも企業規模が大きかったため、第1回目は数百人の債権者が出席していました。

私の場合、総債権者数が百人にはなっていませんでしたので、そこまでの規模ではないと思っていましたが、いずれにしても同じようなシチュエーションなのだろうと、勝手に想像していました。

 

集会当日、私は申し立て代理人弁護士と裁判所の前で待ち合せしました。一般の方と同様、私は荷物検査のある側の入口から入り、ゲートを潜って中に入りました。

弁護士から「管財人から連絡があり、元従業員さんへの未払い給与と解雇予告手当は確実に支給できます。今日その件の報告もありますよ。」私はこれを聞いて、他の一般債権者さんには申し訳ありませんが、少しほっとしました。

そして弁護士は私の緊張を和らげるように、「大丈夫、今日はすぐに終わりますから」と話してくれました。

 

集会場のある階につくと、弁護士は私を一番広い集会場に案内しました。「ここにある名簿の名前の所に○をして下さい」私は促されるまま、名簿に○をしました。中を見ると、会場の前面にはいくつかの囲みテーブルが用意されていて、会場の2/3は来場した人が座れるように相当数のパイプ椅子が並べられていました。「ここに座って待ちましょう」弁護士がそう言い、私は言われるままに弁護士の隣に座りました。「時間がきたら順番に呼ばれます。呼ばれたら前のテーブルに行きますから」弁護士は私にそう説明をしました。

私のような破産規模の場合、数十人の破産者の集会をここで順番にやるようで、私はその事をやっとこの時理解しました。入口でみた受付名簿の数からすると、今日ここで破産者20人くらいの集会が行われます。

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私が想像していた債権者集会のイメージとは、だいぶ違いました。

 

時間になり、裁判官と思われる方々が前の囲みテーブルに立ちました。囲みテーブルは4組用意されています。指示係の方が「これから順番に名前を呼びますので、呼ばれた方、管財人、代理人、債権者の皆さんは指定のテーブルに行って下さい。まずAテーブル、㈱○○○○、及び○○○○さん、Bテーブル・・・」

 

債権者集会が始まりました。