第6章:破産者の生活(2)

新しい仕事場のひとつ、清掃事務所での仕事について書きたいと思います。

端的にいえばゴミ屋さん、収集車と一緒に街中を移動し、各所のゴミを収集車に積んでいく、あの仕事です。

仕事の初日、午前中研修を終えると、職場ではストックヤードといわれるゴミを一時的に集めておく場所に連れていかれました。「じゃあ練習で積んでみて」と担当の職員さんから言われ、収集車が来るのを待って、私は生まれて初めてゴミを取りました。

(業界では、ゴミを収集車に入れる事を積む、ゴミを掴むことを取る、といいます)

真夏の暑い日、まず滅入ったのは匂いです。吸う空気すべてがゴミの匂いです。

ストックヤードにはゴミの山ができていました。私は恐る恐るゴミの山の手前に立ちました。「こうやってゴミの袋を掴んで、最初は片手に1つずつでいいから」そう言われてゴミを取り、収集車の中に放り込みました。「続けて」といわれて、私は5分くらい、その動作を繰り返しました。

「うん、最初はそんな感じ、あとは現場で徐々に教えるから」そう言われて私はゴミの山の前から離れました。熟練の方が代わりにゴミを取り始めました。1度に合計6袋くらいは取っていました。それはまさに圧巻でした。

 

午後、さっそく現場という指示で、そこでも私は驚きに直面します。2人一組で動くのですが、とにかく走ります。ペアを組んでくれた職員さんも歳は40代半ばですが、とにかく走るのです。私はついて行くのが精一杯でした。

「続けられるかな?」内心不安になりました。

 

近況をお話しすると、こんな形で始まったゴミ屋さんの仕事、これを書いている今日現在も続けています。驚くほど体力と握力がつきました(笑))

今年4月からは非常勤職員にもしていただき、待遇もよくなりました。

皆さん正職員さんは地方公務員なので、平たく言っておかしな方はいません。皆さん良識のある方ばかりです。

そしてこの職場、仕事終わりにお風呂に入れます。「汚れを落として帰路につくまでが仕事」そういう概念だそうです。

再任用の職員さんは60代後半の方もいて、身体が丈夫な限り続けられる仕事です。

 

この先この職場は、ひとつの働き場所として、大事にしていこうと思っています。

 

(次回はもう1つの職場、ファーストフード店のデリバリーについて書きたいと思います)

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