第2章:倒産(2)

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午後11時過ぎ、私は自宅に帰宅しました。子供たちはすでに成人して自立していましたので、今は家内とふたり暮らし、でも今日は家内はいません。家内を巻き込まないように昨日から親戚宅へ身を寄せさせてもらっています。誰もいない暗い自宅に、私は帰宅しました。自宅がとても広く感じました。

 

「事態を知った債権者が自宅まで来るかもしれない」

 

個人情報なので簡単に私の自宅所在地を調べる事は難しいはずですが、私の場合仕事がら、現場への提出名簿などで個人情報を出しているケースもあり、私の所在を調べるのがさほど難しくない債権者さんもいました。また会社の登記簿を取れば、そこには私の自宅住所は掲載されています。

 

もし債権者さんと直接対峙してしまった場合は、「決して弁済の約束などはしないように、すべて弁護士を通して、と話をするように」と弁護士からは指示をされていました。

 

有りもので夕食を済ませました。テレビもつけず、外の音ばかりが気になりました。

不測の事態に備え身構えていましたが、誰も来る事はありませんでした。

 

少しは寝ったと思います。翌朝、私はいつもと同じ時間に起きて身支度をし、いつもと同じように会社に向かいました。