第1章:倒産までの状況(2)

しかし、順調に業績を伸ばせている裏側では、新たな問題を抱え始めていました。それは人員不足です。私の会社の生業は所謂現場仕事であったため、若い世代の人員確保ができず、また仮に入社をしても3K稼業ではなかなか定着してくれず、少しずつ、確実に直接の雇用人員が減っていっていました。営業の伸びとは逆に、自社力での施工能力は低下し、現場をまわすため外注や委託に依存する割合が増えていきました。外注に依存すれば当然利益率は下がります。その実情は当然数字として表れてきます。年を追うごとに営業売り上げは伸びているのに、営業利益が下がっていく。経営としては最も悪い現象です。

あわせて、建設業界での社会保険加入問題が行政により指導され、私はそれを1つの改革と捉え、積極的に保険加入を進めました。今思えば、同業他社と同じように騙し騙しこの問題をやり過ごしていればよかったのかも知れません。全員の社会保険加入を進めた事で、さらに経営状況を悪化させていきました。

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